シロアリ駆除は薬剤を使用して、家の害虫であるシロアリを除去する作業です。
このシロアリ駆除について気になるのは安全性ではないでしょうか。
実際、シロアリ駆除には臭いだけでなく、使っている薬剤も名前からして何となく危険そうなものが少なくありません。
そこで今回は、シロアリ駆除の安全性について解説していきましょう。
現在のシロアリ駆除は安全
シロアリ駆除はこれまで様々な手法で行われてきました。
かつては安全性に疑問のある手法も存在していましたが、現在行われているシロアリ駆除は安全なものになってます。
その理由として、薬剤自体が安全になった、施工自体が安全、
業者が行うシロアリ駆除は養生対策をしっかり実施している点が挙げられます。
薬剤自体が安全に
シックハウス症候群が叫ばれた時期、いち早くシロアリ駆除剤も、シックハウス症候群の対策に取り組んできました。
それによって、シックハウス症候群を引き起こす可能性のあった薬剤は使用されなくなり、安全性を高めてきたのです。
施工自体が安全
蒸気圧を低くして散布しているため、空気を汚すことがほとんどありません。
薬剤が空気中に広がって、室内に入ってくるといったことがなくなるように床下を中心に散布する施工方法を採用しています。
このような施工方法によって、蚊取り線香や殺虫スプレーよりも安全な施工を行っています。
業者が行うシロアリ駆除は養生対策をしっかり実施している
養生対策をしっかりしています。床下の施行であっても、アレルギー反応を示す方がいるのも事実です。
この理由として、シロアリ駆除の薬剤の影響ではなく、
床下に多く存在するカビの胞子やほこりが舞い上がって室内や敷地内に立ち込めることで起こる反応が挙げられます。
つまり、養生が不十分だと、シロアリ駆除の施工によってアレルギー反応が起こるのです。
シロアリ駆除の専門業者であれば、そういった対策もきちんと行っており、
シロアリ駆除の養生によってアレルギー反応や各種身体への影響を最小限に、あるいはほとんどなくすことができます。
このような理由から、シロアリ駆除は安全なものといえるのです。
業界団体でもシロアリ駆除の安全基準を設けている
日本では業者だけでなく、業者が加盟している団体が安全基準を設けています。
国土交通省の管轄のもとシロアリ駆除業者の業界団体があります。
この組織では、安全管理基準を業界内で設けており、それに沿った施工を行っているのです。
ただ、この基準は義務でないため、基準を守らない業者もいますが、
その基準に沿ったシロアリ駆除を行っているかは確認できるので、依頼する前にチェックするのがおすすめです。
この組織の方法に沿った業者であれば、かなり安全なシロアリ駆除が期待できるので、
}なるべく認定を受けたシロアリ駆除業者を選びましょう。
安全を左右するシロアリ駆除の薬剤
ここまで、安全な理由や業界の取り組みを紹介してきました。
次に知っておきたいのは、シロアリ駆除に用いられる薬剤です。
現在は、次の7種類がシロアリ駆除薬剤として利用されています。
1・IGR剤(脱皮阻害剤)
2・アントラニリックジアミド系薬剤
3・ホウ素系薬剤
4・フェニルピラゾール系薬剤
5・合成ピレスロイド系薬剤
6・ネオニコチノイド系薬剤(主流)
7・カーバメート系薬剤(現在使用している業者はほとんどいない)
これらについて解説していきましょう。
IGR剤(脱皮阻害剤)
ベイト工法で用いられるシロアリ駆除の薬剤です。
このベイト工法とは、専用容器にシロアリ駆除の薬剤を入れてシロアリを素ごと駆除できる工法です。
このベイト方法と薬剤を組み合わせ、シロアリが好んで食べるこの薬剤を巣に持ち帰らせることによって
脱皮を阻害して殺虫していく方法になります。
安全性が高く、脱皮しない哺乳類(人間を含む)、鳥類、魚類に対して安全性が高い成分です。
アントラニリックジアミド系薬剤
新型のシロアリ駆除剤です。
米国環境保護庁(EPA)の低リスク殺虫剤(RRP)に指定された唯一の薬剤であり、非常に安全性が高い駆除剤でもあります。
徐々に効き始め、シロアリがどんどん殺虫されます。
ホウ素系薬剤
ホウ素系薬剤は、目薬の防腐剤にも使われる安全性の高い薬剤です。
ただし、水に弱く流れ出てしまうリスクもあります。
さらにシロアリが直接食べないと効果が出ないので、
シロアリ駆除よりも防腐剤としての効果を期待して利用することも少なくありません。
フェニルピラゾール系薬剤
フェニルピラゾール系薬剤は、高い伝播性(触れていないシロアリも効果を与える)と少ない量で殺虫できるのが特徴です。
さらに改良されてマイクロカプセル化することで安全性を高めています。
合成ピレスロイド系薬剤
合成ピレスロイド系薬剤は、蚊取り線香などの成分を化学合成した薬剤です。
とにかく即効性が高く、家庭用の殺虫剤にもよく利用されています。
ネオニコチノイド系薬剤(主流)
ネオニコチノイド系薬剤は、シロアリ駆除で最もよく使われている薬剤です。
少ない量で効果が期待できるのと効果期間の長さが特徴で、業者も盛んに使用しています。
それでいて安全性も高いため、主流となっています。
ちなみにタバコのニコチン成分から合成されたものですが、においがほとんどしないだけでなく、
人体への悪影響も非常に少なくしてある薬剤です。
カーバメート系薬剤(現在使用している業者はほとんどいない)
カーバメート系薬剤を使っている業者には注意しましょう。
この薬剤は現在ほとんど使われていません。
確かに効果が高いのでシロアリ駆除に有用なのですが、
成分の中にシックハウス症候群を引き起こすものが検出されています。
そのため、原則屋内での使用が行われない薬剤です。
ただ、この薬剤は現在も流通しているため、一部のシロアリ駆除業者が使うことがあります。
念のため、施工見積もり段階で、どのような薬剤を使用するか聞いてみましょう。
もし、カーバメート系薬剤(このキーワードで検索すると製品名が出てきます)を使用しているとわかったら、
その業者に依頼しないことをおすすめします。
まとめ
シロアリ駆除は安全な施工を行っています。
業者本人だけでなく、業界団体がその対策を行っており、安全基準も存在します。
ただ、それに取り組んでいないシロアリ駆除業者もごくまれにいるので、
認定の有無や使用する薬剤をチェックしてみて、危険な業者は利用するのを控えましょう。